シム・スボン愛しい歌

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新聞・雑誌記事、解説書や各分野で活躍されている人達のインタビュー記事などシム・スボンさんを応援するメッセージの紹介コーナーです。

「東北復興応援の旅」（楢葉町宝鏡寺、陸前高田市、
　　　　　石巻市大川小学校、石巻市門脇小学校、富岡町駅）
(2024-11-25)
 

2011.03.11の東日本大震災から13年目を迎えました。今年、46周年記念全国ツアーコンサートを過密スケジュールでがんばっておられるシム・スボンさんの思いとともに、夫婦で気持ちばかりの東北復興応援の旅に出かけてきました。
11月25日（月）の朝6時15分に家を出発、常盤自動車道を北上して、まず楢葉町宝鏡寺に向かいました。途中、原発汚染地域付近の表示放射線量は0.1～1.6μSv/hで、昨年の最大値1.9μSv/hよりはやや下がっているものの、まだまだ厳しい環境が続いています。
ならはPA（スマートIC）で一般道に下りてすぐの宝鏡寺にAM7時半頃に到着しました。
荒浜慰霊碑荒浜慰霊碑荒浜慰霊碑荒浜慰霊碑宝鏡寺の住職であった故早川篤雄さん（左上写真）は、反原発、反核、平和を求める運動に生涯をささげた不屈の闘士でした。原発の危険性を早くから指摘し、1975年に福島第二原発１号機の設置許可処分の取り消しを求めて裁判を起こしました。最高裁まで17年間の法廷闘争に身を捧げましたが敗訴に終わってしまいました。そして時が流れ、あろうことか2011年3月11日に訴え続けてきた福島第一原発の事故が起きてしまいました。今となっては、早川さんの先見の目と、人間が生きるうえで何が一番大切なことであるかを説いた熱い情熱に頭が下がるばかりです。境内には原発事故の教訓を伝える施設「伝言館」（右上写真）が館長の早川篤雄住職の賠償金などの私費を投じて建設・開設されています。木造2層建てで、1階には除染の写真、汚染水や震災関連死についての説明パネルなど約100点が展示され、地階では広島、長崎の原爆被害に関する資料、米国の水爆実験で被曝（ひばく）した第五福竜丸に降った「死の灰」などが展示されています。不屈の精神で原発の恐ろしさを訴え続け、自身も避難生活の屈辱を味わい、そのすべての思いが、「原発、やめんかい！」と叱咤している「和尚叱り石」（左下写真）に込められているようです。この「伝言館」の右手には、東京の上野東照宮境内で灯されてきた「非核の火」を移した、「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言の灯」が静かに炎を揺らしていました（右下写真）。

荒浜慰霊碑荒浜慰霊碑宝鏡寺を後にして、三陸縦貫自動車道を北上し、陸前高田ICを下りて、「道の駅高田松原」を併設した「東日本大震災津波伝承館」に向かいました。ちょうど12時に着きましたので、まず道の駅で三陸の海産物を贅沢にあしらった海鮮丼の昼食をいただきました。その後、津波被害を受けた海沿いの約130 ヘクタール( 東京ドームおよそ30 個分）という広大な面積で整地された「高田松原津波復興祈念公園」へと足をのばしました。左の写真は、「道の駅高田松原」と「東日本大震災津波伝承館」複合施設の接点モニュメントから海方向への眺めです。真直ぐ続く「祈りの道」を進み、高さ12mの防潮堤の階段を上がると、そこに献花台を設けた「海を望む場」（右の写真）があり、青々とした広田湾の絶景が見渡せます。設計者は建築家の内藤廣氏で、防潮堤によって陸前高田市が「海のことを忘れて生きるまち」みたいにならないように、海とともに生きる市民の思いを表現したと語っています。私達は震災から3年目の2014年4月16日に初めて陸前高田を訪れました（本サイト「応援メッセージ」コーナーの2014年4月25日掲載記事、「東北復興応援の旅」の旅行記（陸前高田市、大船渡市）を参照下さい）。その時の光景から現在のこの復興公園の姿は想像もできません。訪れたときは「奇跡の一本松」の背景に震災遺構として保存が決まった陸前高田ユースホステルの無残な姿と土地をかさ上げするための土を山から延々と運んでいるコンベアがモウモウと土煙を上げている荒涼とした姿だけでした。あれから10年の時が過ぎました。今は高さ12.5mの防潮堤が作られて内陸側から海は全く望めません。その防潮堤の内陸側に「奇跡の一本松」は陸前高田ユースホステルとともに、「海を望む場」の右手方向に大切に保存されています。　

松木波男さん松木波男さん陸前高田から宿に向かう途中で気仙沼湾の内湾に位置する「風待ち」という小さな港町に立ち寄りました。あの震災で、1912年（大正元年）創業の地酒メーカー「気仙沼 男山本店」の3階建て店舗（左の写真）は1，2階部分が完全に津波にさらわれてしまいました（右の写真）。国登録有形文化財でもあったこの建物は地元の象徴的な存在でもあったため、残された3階部分を使っての完全復元が「気仙沼風待ち復興検討会」によって企画され、資金面などの苦難を乗り越えて、2020年7月15日、見事に震災前の姿に再建されました（下の写真）。松木波男さん私達のお目当ては、今年11月にできたての新酒で、この蔵元の代表商品である「蒼天伝（そうてんでん）」の無濾過生原酒を入手することでした。魚料理に合う、少し柔らかい味とうたっているこのブランド品を数本購入し、店員さんからお聞きした再建時の苦労話しと一緒に持ち帰ることができました。

松木波男さん松木波男さん気仙沼から三陸縦貫自動車道を戻り、志津川ICで下りて、今夜の宿、「ホテル観洋」に向かいました。震災時、岩盤の上に建つこのホテルの2階天井近くまで津波が襲いましたが、的確な従業員の誘導でお客さんは全員無事に避難できたそうです。2階にあった広い内風呂も露天風呂も壊滅的な被害を受けました。あれから13年後、ホテルは完全復興し、広い内風呂も元の姿に修復されました。その内風呂に浸かって志津川湾を望むと、内風呂の湯面と湾の内海とが一体に繋がって、まるで海面に浮いているかのような爽快な気分を味わうことができます。翌朝、日の出前の朝霧立つ志津川湾には、ノリ・カキ・ワカメ・ホヤ等の養殖棚を目指して進む漁師さんの小舟が行き来しています（左の写真）。暫くして日の出が近づいてきました（右の写真）。湾は赤く、黄金色に染まり、静かな内海の波頭が寄せては返しています。まるで自然は何事もなかったかのようでした。

女川半島漁港大川小学校大川小学校大川小学校ホテル観洋をAM9時ころに出発して、三陸の海岸線の国道45号線から国道398号線を南下しました。道中、そう広くはない入江がポツリポツリと顔を出し、それぞれに小規模の漁港が再建されているようでしたが、その湾を囲む集落は津波被害によってほとんどが高台に移転しているようで、寂しい空き地の風景が続いていました。1時間以上走って、北上川の大橋を渡り、8年振りの石巻市の遺構「大川小学校」に着きました（左上写真）。まず、目に飛び込んできた光景の第一印象は震災遺構として随分と整理拡充されたという思いでした。8年前は、津波被害そのままの校舎と津波にも耐えた生徒らが描いた壁絵（右上写真）と校庭の一角に据えられた慰霊碑ぐらいでした（本サイト「応援メッセージ」コーナーの2016年10月30日掲載記事、「東北復興応援の旅」（仙台市荒浜、女川町、石巻市）を参照下さい）。現在は校庭の慰霊碑が校庭から続く右手奥のスペースに移されて（右下写真）、また新たに「大川震災伝承館」が慰霊碑に行く途中に建てられていました（左下写真）。展示室では震災前後の航空写真や地域模型、実物資料が展示され、PCで被災校舎の内部写真や裁判記録を閲覧することができます。建物も立派ですが、展示品も工夫されていて立派な施設になっています。それに事務室におられた館員の相澤さんが詳しい経緯をとても親切に丁寧に説明してくれたのが心に残りました。それにしても-----、とやはり悔恨として思うのは、右上の写真の後方に見える裏山になぜ生徒を避難させることができなかったのかという問いです。すぐそこに安全な高台があるのになぜ-----、犠牲になった74人の生徒の遺族の悔しさに思いを馳せながら津波を引き込んだ北上川沿いを内陸方面へと車を走らせました。

大川小学校北上川を離れ、石巻市の市街へと向かいました。震災遺構となった門脇小学校は海岸のすぐ近くに位置していました（左写真）。ここは、津波火災による被災状況を残す全国で唯一の震災遺構として保存されています。震災時、校舎は高さ１．８メートルの津波に襲われたうえに、流されてきた車や住宅から引火して津波火災が起きました。しかし、幸いなことに学校にいた児童２２４人は地震発生から１５分後には裏山に向けて避難を開始したため、火災発生前に全員避難して無事だったそうです。日頃から津波を想定し、裏手にある標高40メートルの日和山へ避難する訓練を行っていたそうです。ただ、火災発生時には、校舎には子供の無事を確認しに来ていた家族など40人ほどが取り残されたため、とっさに校舎の窓から机や椅子、教壇を使って裏山への避難通路を作り、事なきを得たと言います。これらの状況を詳しく展示した立派な「展示館」が併設されていました。津波火災というとてつもない事態に遭遇したにもかかわらず、日頃の避難訓練ととっさの機転で安全を確保した学校側の対応に深い感銘を受けました。

大川小学校門脇小学校から三陸縦貫自動車道を南下し、常磐富岡ICを下りて富岡駅に向かいました。旧冨岡駅は海まで500mと近く、しかも平地でつながっていたため津波をまともに受けて消失してしまいました。2020年3月14日に常磐線が全線開通を果たし、新しい富岡駅が旧駅舎から100mほど北に移動して新設されました（左の写真）。入り口からはホームの向こうに青い海原の太平洋がすぐそこに見えます。駅前のロータリーは広々としていますが人影はほとんどありません。駅舎の左隣には富岡町観光協会の観光案内所が併設されています。ここは、2017年10月にコンビニ兼食堂としてオープンした「さくらステーションKINONE」がコロナ禍にあって2021年10月に閉店となってしまったため、その空いたスペースを活用して翌年の2022年2月に始まったそうです。中に入ると観光事務所のほかに農産物などの地元産の商品を売るスペースが設けられていました。酒類も売っていましたので、売り場担当のお姉さんにお勧めのものを尋ねると、富岡町産「天のつぶ」という銘柄の地元米100％で造った純米吟醸酒「天の希（てんのき）」がありますよと教えてもらいました。このお酒は、町の未来を照らすという意味を込めて、公募によって命名されたそうです。2000本限定で出たばかりの新酒でしかも原酒とお聞きしてすぐに何本か買わせてもらいました。

2年振りに震災の地を訪ねてきました。各地に震災の遺構が保存され、記憶にとどめるための伝承館もそれぞれ展示内容がとても充実したものばかりでした。一方で、津波の犠牲者の多くが、先人たちが残してくれた、今回のような大津波の津波到達点を記した石碑の存在や、津波が起きたら家族が一緒にいなくても気にせず、てんでばらばらに高所に逃げ、まずは自分の命を守れという、三陸地方の言い習わし"てんでんこ"を、もっと日常の知識として生かしていれば助かったのではないかという思いが強く湧いてきました。この先、100年、200年、1000年後の未来の人達が同じような犠牲者を出さないために、今回の震災の遺構、伝承館が大きく役立つことを願って帰路につきました。

　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（記事：管理人）
 トピックス写真
 2012年5月21日の金環日食における
「Shim SooBong」ピンホール投影写真
 スタッフ写真













写真-1　「Shim SooBong」イラストの原版
 スタッフ写真













写真-2　「Shim SooBong」イラストのピンホール投影写真
撮影方法：写真-1の「Shim SooBong」イラストの原版に開けたピンホールから三日月形の部分日食光を投影版に投影させ、浮かび上がった文字をデジカメ撮影。
 スタッフ写真
















写真-3　写真-2の拡大写真
部分日食中の太陽の三日月形がよく分かります。
kono